この鳥の巣のイメージを始めてみたのは、ヘルツォーク&ド・ムーロンのスタッフとしてプラダブティックの工事現場に張り付いていたときだった。
一人のスタッフがスイスから送られてきたコンペのイメージを見せてくれた。
「どう?このデザイン。好き?」と聞くので、「すごく大変そうだよね。」と他人事のように返事をすると、
「で、好きなのかどうか聞いているのさ。」というので、
「うん。正直わからない。ただ、十分クレージーだから、いいんじゃないかな。担当者はきっと大変だろうけど。(笑)」と。
ジャックとピエール、小さいころからの幼馴染だという。おそらくその関係は、今でも変らないだろう。
この映画を見ていると、彼らが一瞬、子供のように見えるときがある。
それは、二人が北京で合流し、鳥の巣を見ながら素朴な表情で会話を交わしているときだ。
彼らにとっても中国人にとっても、このプロジェクトは前代未聞の出来事。
大人の理論だけでは通用しない何かがそこにはある。
それは、きっと子供が砂場でモクモクと何かを作る中で繰り広げるやり取りに似ている。
そんなジャックとピエールが二人三脚で繰り広げる珍道中物語、
気軽な気持ちで彼らといっしょにニヤけてみてはどうだろうか。
菊地宏
(建築家・菊地宏建築設計事務所主宰・元ヘルツォーク&ド・ムーロン事務所在籍)
(劇場用パンフレット原稿より抜粋)




